LINE Seedは、LINEが自社のサービスやブランド全体で使用するために開発したコーポレートフォントです。単にLINEらしい見た目をつくることだけが目的ではなく、スマートフォンやWebサービスの画面上で、日本語、英語、数字、記号、アイコンなどが混在しても、ひとつの統一された視覚言語として見えることを重視して設計されています。
デザインの特徴は、シンプルさと親しみやすさです。LINEのロゴにも見られる幾何学的な構成を基礎としながら、角や曲線には柔らかさが与えられています。そのため、個性的すぎず幅広い場面で使える一方で、一般的なゴシック体とは少し異なるフレンドリーな印象を持っています。また、文字だけでなく数字や記号、アイコンなどにも共通した造形原理を持たせることで、アプリやWebサイトのインターフェース全体に一貫性を与えています。
LINE Seedの重要な特徴は、日本語だけを独立して考えていないことです。LINEでは一つの画面上に日本語、アルファベット、数字、URL、ユーザー名、絵文字などが頻繁に並びます。LINE Seedでは、こうした異なる種類の文字が混ざったときにも、大きさや太さ、重心、全体の密度が不自然にならないよう調整されています。さらに、日本語だけでなく英語、韓国語、タイ語など複数の言語に展開されており、言語が変わってもLINEというサービスが同じ「声」で話しているように見えることが意識されています。
この点でLINE Seedは、従来の活字を単にコンピュータ上に移植した書体とは少し性格が異なります。紙面上で一文字一文字を美しく見せることだけではなく、スマートフォンという画面、UI、複数言語、数字や記号との混在といった、現代のデジタル環境そのものを前提として設計されています。
興味深いのは、それほどデジタル環境を意識して作られているにもかかわらず、見た目はいわゆる「デジタル風」ではないことです。ピクセルフォントや機械的な書体のようにコンピュータらしさを強調するのではなく、むしろインターフェースの中に自然に溶け込むことを目指しています。LINE Seedは、コンピュータの存在を表現する書体というより、コンピュータを日常的に使う現代の環境から生まれた書体だと考えることができます。