なんでこんなに乗客おもろいんだよ。 新幹線の爆破はテロといえばテロだが、911のようにテロ犯なりの大義名分があるわけではない。あくまで大金を得るための脅しでしかなく、前半は比較的ほのぼのと進行する。しかしいくつかの出来事が重なり、事態は複雑さと深刻さを増す。後半の沖田は仲間の意志を引き継ぎ遂行することが目的化し、警察と国鉄は判断でもめる。その不条理な空気感の変遷がしっかりと描かれており、登場人物の複雑な感情を引き出している感じ。特に国鉄の指示役の、結果ではなくその過程を問う姿勢が印象的で、あたかもすべての顛末を計画しているかのような警察の姿と対照的だ。しかし結果としては完全に警察の勝利。不条理に対しておろおろする過程が人間なのに、後から見るとなんでもないような気がする。そのようなことばかりである。 『残響のテロル』と『シン・ゴジラ』を思い出した。人はある一つの目的に沿っているようにみえるが、その過程にはさまざまなことの蓄積がある。蓄積を丁寧に描く作品が好きかもしれない。