劇中劇の「夏の海辺」と、その脚本家が経験する「冬の雪原」の対比がきれい。夏は少年が離れていくのに対し、冬は帽子もカメラも主人公の元に帰ってくる。そこに旅観の変化が見られるのだろうか。 どちらの舞台もノスタルジック・ファンタジックで、同監督の『ケイコ』や『夜明け』とはまた違った世界観がある。そこまで現実から離れることが本来の旅だとは思わないけど、肥大化した世界は本来の旅の良さに気づかせてくれる。旅はストーリーに帰結するのではなく、ささやかなものが日常を照り返してくれるようなものだと思った。

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